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日本人の人種差別に関する考察 -チャールストン乱射事件を受けて-

Posted by SJ on 21.2015 国際政治   0 comments   0 trackback
9人が犠牲になった米国チャールストンの教会での銃乱射事件。

逮捕された容疑者は21歳の白人青年。
容疑者のものと思われるウェブサイトには、黒人に対する反感とそれを正当化する彼なりの根拠が並べ立てられていた。
一日経って、なぜかそのサイトにアクセスできなくなってしまったため、正確な引用ができないのだが、昨夜読んだ記憶に沿って、人種差別について少し考えてみたいと思った。

恐ろしいと思ったのは、北東アジア人についての彼の見解だった。
彼はこんなことを書いていた。
「北東アジア人には敬意を持っている。人類が滅亡するとしても、彼らは何かを遺すだろう。彼らは生来非常に人種差別主義的だ。彼らは白人の良き同盟者となるだろう。」

この記述の前、彼は白人文化についての記述の中で日本を引き合いに出していた。
「白人文化は世界の文化となってしまったために、白人には独自の文化がないような感覚に陥る。でも、例えばもし世界中のビジネスマンが着物を着ていて、食事に箸を使っていたとしたら、日本人は独自の文化を持っていないように感じるだろう。」
といった具合に、日本文化に一定の理解を有していることがうかがい知れる内容だった。

この記述があることから、彼が「北東アジア人」と呼んだのはたぶん日本人、少なくとも日本人を含む人種なのだろうと思った。
思えば高名な故ハンチントン氏の「文明の衝突」では、日本文明はひとつの別個の文明として認識されていた(他方でアフリカの何十か国はアフリカ文明とひとくくりにされていた)。
日本人に生まれ日本で育った私にはよくわからないが、どうも日本人というのはしばしば固有の文化を持つ民族としてある種の敬意を持って見られているらしい。

ともあれ、この21歳のアメリカ人青年は北東アジア人、たぶん日本人を「生来非常に人種差別主義的」と見ていた。
確かに、と思わされた。

教育のせいなのかメディアのせいなのか本能的なものなのか、日本人はなぜだか白人に劣等感を持っていて、一方でアジア人や黒人を蔑視する傾向がある、というのは筆者個人の思い過ごしではないであろう。

脱亜入欧の精神が今も脈々と日本人の中に生きているのか、白人文化への憧憬が白人という人種そのものに伝播したのか、なぜなのかはわからない。
少なくとも筆者は初めて白人の国へ行った時にWhite supremacy(白人至上主義)と呼ばれる意識を肌で感じたし、白人に囲まれていると肩身が狭いような気がしたものだ。
ある英連邦の国で、南欧出身の老婦が面と向かって筆者をYellow(アジア人の別称)と呼んだこともあった。
ホームステイ先の夫人は、彼女の息子の恋人について「彼女はアジア人の血が入っているけど、綺麗な女性よ」と言った。

明らかに、白人至上主義は今も根強く存在する。たぶん多くの白人の意識の中に。
その意味では、21歳の白人青年がこういう考え方を持っていたことは何も不思議ではない。
実際、彼のウェブサイトの内容を見て、「恐ろしいのは、彼の書いた内容は多くのアメリカ人が思っていることだということだ」とツイートした白人女性もいた。

日本人は白人至上主義を無意識に受容している。白人に差別されたとしても仕方がないと思っている。
そしてその鬱憤でも晴らしたいかのごとく、他の人種を差別する傾向がある。
中国人や韓国人を含めてアジア人を蔑視する傾向は根強い。
それには、戦時中ないしもっと長期にわたってこれら地域を日本が占領したという経緯も関係しているのかもしれない。
或いは日本はアジアの他諸国と違い欧米列強に植民地化されなかったし、逆に列強の仲間入りを果たしたという誇りがあるのかもしれない。
単純に「脱亜入欧」の名残かもしれない。

そして遠いアフリカに対しても、失礼と言っていい先入観を持っている日本人は驚くほど多い。
個人的に、メディアの責任は大きいと思っている。
アフリカの地を踏んだことのある日本人はたぶん少数派だし、特に昨今のようにテロが蔓延しているようなイメージをメディアが作り上げてしまえば、それを疑いなく受容してしまう人が多いのはある意味仕方がない。
テロの他にも、呪術の話題や、エボラ出血熱騒動の時のギニアだかの田舎の住民の迷信など、日本人の感覚で理解できない話題ばかりが無責任に前面に出されて、日本人はそれを見て野蛮だとか未開だとか教育が行き届いていないせいだと言う。

教育というのは危うい概念だと思う。日本と韓国で教える歴史が全然違うのと同じように、教育とは国家規模での洗脳に近い。
理解できないものに出くわしたときに、それが相手方の教育の不足だと断じるのは、自身が受けた教育への盲信に他ならない。
特に日本の教育形態では、教わったことに疑問を持つことは良しとされないから、こうなってしまうのは仕方ないのかもしれないが。
たとえそれが科学的な「事実」だとしても、科学の存在すら知らずに生きてきた人に対して部外者がいきなり「これが科学的事実だからこれが正しい」と言って何になるというのだろう。彼らがそんなものを信じるはずがない。
彼らが持っている世界観を根底から壊すことなどできないし、してはいけない。
教育が行き届いていないと断じるのは簡単だし一見理性的なように見えるが、実は自分が受けた教育を盲信しそれが全世界に拡大されるべきだと思い込んでいるという意味で、甚だしく自己肯定的で差別的だ。

話しが少しそれるが、先般のネパールの地震の際に興味深い記事を目にした。
地震の被害者とされる幼い兄弟の写真がネットで拡散され、多くの人がそれに心を動かされ寄付をしたが、実はその写真は随分前に全然違う場所でとられたベトナム人兄弟のものだった、という記事。
興味深いのは、こうした「かわいそうな弱者」の写真は見る者を力づける、という記事の主張だ。
かわいそうな弱者を見ることで、我々は自身が優位にあると感じることができる。だからかわいそうな弱者を助けたいと思い、寄付をしたり、支援の手を差し伸べる、という議論だった。

チャールストンの容疑者は似たようなことを書いていた。
「もし人が犬を殴っているのを見たら、犬がかわいそうだと思うだろう。でももし犬が人を噛んでいたとしても、同じように人をかわいそうだとは思わないだろう。かわいそうだと思うのは、虐げられているのが弱者だからだ」といったような内容だった。
彼は、黒人が被害者となった事件が大きく取り沙汰されるのに対して、黒人が白人に対して犯した犯罪はまるで正しく報道されていないと主張していた。
彼は白人を人に、黒人を犬にたとえたのだ。そして、黒人ばかりが弱者として同情を買い救済を得ていると主張したのだ。

日本には米国での白人対黒人と似たような人種対立の構図がある。
言わずもがなだが、日本人対在日朝鮮人だ。
悪名高い在特会の主張はチャールストンの容疑者の主張と酷似している。
在特会は、その名「在日特権を許さない市民の会」から明白なとおり、在日朝鮮人は救済名目で特権を得てきたと主張しているのだ。
容疑者が「北東アジア人は良き同盟者となる」と書いたとき、もしかしたら在特会のことが頭にあったのかもしれない。実際、在特会は英語のニュースサイトでも時折名前が言及されるほど、悪い意味で有名だ。

相手は弱者だからと、自分たちが優位にあるうちは寛大な措置を取る。
しかし弱者が力をつけ数を増し、優位にあるはずの多数派を脅かすようになると、多数派は恐怖を覚える。
恐怖に駆り立てられた多数派は自己保存・現状維持の正当化のために強い人種差別意識を持つようになり、それがヘイトクライムへとつながるのではないだろうか。

在特会は日本でも強く批判されているが、批判の趣旨は、やり方(ヘイトスピーチ)が悪いという意見が大勢ではなかろうか。
橋本大阪市長と在特会代表の対談でも、橋本氏は「ヘイトスピーチはやめろ。政策を変えてほしいなら自分が選挙に出ろ」の一点張りだった。在特会の言う「在日特権」については議論もしなかった、逆に言えば否定もしなかった。

チャールストンの容疑者の考え方が、実はアメリカ人の多くが胸の内に秘めているものだと考える人がいるように、
在特会の考え方も、実は日本人の多くが胸の内に秘めているものなのではなかろうか。
大多数のアメリカの白人と日本人は、そうした考えが不適切だと自分自身を戒め、決して外に出さないようにしているだけかもしれない。
そうだとすれば、「弱者」がこれからもっと力を増し、多数派の権利を脅かすようになれば、こうしたヘイトクライムは徐々に支持を拡大していくのかもしれない。

日本人はチャールストンの乱射事件を対岸の火事だとのんびり眺めていてはいけない。
誰もが無意識に持っている差別意識を見つめなおし、向き合うことができなければ、同じような惨事が日本で起こる日も遠くないかもしれない。

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プロフィール

SJ

Author:SJ
大阪生まれ、東京かぶれ、オーストラリア、ナイジェリア経由、2013年英国にてアフリカ研究修士号取得。
関心事項はアフリカ、開発、国際情勢、日本の政治・社会、メディア。
趣味は海外旅行と映画鑑賞、写真撮影。
世界で一番好きなものは猫(大小問わず)。

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