Loading…

スポンサーサイト

Posted by SJ on --.-- スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

殺戮、のち楽園 -スリランカの過去と未来-

Posted by SJ on 16.2013 旅行・出張   0 comments   0 trackback
今回は出張で訪れているスリランカからお伝えします。

スリランカは、あまり海外に行ったことがない筆者の母親が昔行ったことのある国で、
なんとなく思い入れがあり、筆者自身もいつか行ってみたいと思っていました。

スリランカは旧英領で、
もともと植民地経営の一環のプランテーションで栽培され始めた紅茶が今も有名ですね。


足早に冬へと向かう日本の山間部から出張者として初めて訪れた私には、
温暖で色とりどりの花が咲き乱れ、陽気でにこやかな人々であふれたこの国は、
さながら楽園のように見えました。

実際、スリランカには美しい砂浜のビーチがいくつもあり、
ビーチリゾートして世界各地から観光客を集めています。
他にも、アーユルヴェーダというエステのようなものは世界的に有名で、
女性に絶大な人気があります。


しかし、スリランカの歴史は最近までずっと不安定で、
タミル人反政府組織と多数派シンハラ人率いる政府軍が激しい戦闘を繰り広げていたのは、
つい数年前の2009年のこと。

内戦末期、政府軍のゲリラ殲滅のための猛攻はすさまじく、
この時期に人間の盾として殺された市民の数は数万にのぼると言われます。
その際の映像を、英国メディアのチャンネル4というテレビ局が世界に発信し、
世界的に大きな反響を呼んだそうです。
今年、その映像に基づいてNo fire zoneという映画が製作されたそうですので、
ご興味のある方々のために、リンクを置いておきます。
http://nofirezone.org/


このような悲惨な殺戮の舞台となった地、スリランカ。

現在も中央政府は多数派シンハラ人が多勢を占め、
非シンハラ人の住む地域では開発事業が遅れがちです。
また、選挙での票田を確保するために、住民を意思に反して移住させたりと、
その政治は今も独裁色を強く帯びています。

政府関連施設へ行けば"Unity is strength"(「統一こそ力」)の美辞麗句が踊り、
施設に入れば目に付くところに大統領の写真が飾られています。

高級ホテル等の経営は大統領の家族が行い、大統領一族は私腹を肥やしています。
また、内戦時に動員された兵士がその後路頭に迷うことのないようにするため、
あちこちに見張りの兵士を配置し、
最近は観光客向けの事業を兵士が行っている例もあるそうです。

他方、インド及び中国から多額の資金が流入し、幹線道路、高速道路の整備が進んでいます。
しかし、中国からの資金はODAのような援助枠ではなく高い利子を伴う融資であり、
スリランカの国庫は自転車操業。

それに輪をかけるように、スリランカは今年、
2年に一度英国と旧英領の国々の代表が集うCommonwealth Heads of Government Meeting (CHOGM) を開催し、
使節の宿泊するホテル等を自費で手配したそうです。
このツケが、今後税金という形になって国民に降りかかってくるのだろうと、現地の人々は話しています。

ただでさえ急速に物価が上昇するスリランカにあって、
一般の国民への還元を何も伴わないこのようなイベントへの多額の出費は、
政府への反感を助長する以外の何の効果も持ちません。



一見すれば楽園のような、美しく穏やかな国、スリランカ。
咲き誇る花々を育てたその土地は、つい数年前まで殺戮の舞台だった土地。
今も続く政治の腐敗、積み重なって膨らんでいく人々の政府への反感。

この国はどこへ向かうのでしょうか。

殺戮、のち、楽園だとしても、それは誰のための楽園でしょうか。

この国を楽園ととらえ、気軽に観光に行くのがいけないと言っているのではありません。
けれど、この国の今が凄惨な歴史の上に成り立っていることや、
今も政治的な火種を抱えた不安定な国家であることを、
どうか少しでも心に留めて欲しいと思います。

万人のための楽園などなくても、苦しむ人が一人でも少なくなるように。


あと10日ほどスリランカに滞在します。
仕事の面でも、いち個人としても、実り多い滞在にしたいと思います。


毎度長文ですが、お読み頂いた皆様、お時間をありがとうございました。
スポンサーサイト
  

プロフィール

SJ

Author:SJ
大阪生まれ、東京かぶれ、オーストラリア、ナイジェリア経由、2013年英国にてアフリカ研究修士号取得。
関心事項はアフリカ、開発、国際情勢、日本の政治・社会、メディア。
趣味は海外旅行と映画鑑賞、写真撮影。
世界で一番好きなものは猫(大小問わず)。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。